知っとこ!!文学篇 か行エントリー一覧

海異記

砂山を細く開いた、両方の裾《すそ》が向いあって、あたかも二頭の恐しき獣の踞《うずくま》ったような、もうちっとで荒海へ出ようとする、路《みち》の傍《かたえ》に、崖《がけ》に添うて、一軒漁師の小家《こいえ》がある。 崖はそもそも波というものの世を打ちはじめた昔から、がッきと鉄《くろがね》の楯《たて》を支...

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祇園の枝垂桜

私は樹木が好きであるから旅に出たときはその土地土地の名木は見落さないようにしている。日本ではもとより、西洋にいた頃もそうであった。しかしいまだかつて京都|祇園《ぎおん》の名桜「枝垂桜《しだれざくら》」にも増して美しいものを見た覚えはない。数年来は春になれば必ず見ているが、見れば見るほど限りもなく美し...

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偶感一語

最近、昆虫学の泰斗として名声のあった某理学博士が、突然に逝去された報道は、自分に、暫くは呆然とする程の驚きと共に、深い深い二三の反省ともいうべきものを与えました。故博士に就て、自分は何も個人的に知ってはおりません。 ただ、余程以前、何かの講演会の席上で、つい目の前に、博士の精力的な、快活な丸い風貌に...

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京阪聞見録

予も亦明晩立たうと思ふ。今は名古屋に往く人を見送る爲めに新橋に來てゐるのだ。待合室は發車を待つ人の不安な情調と煙草の烟とに滿たされて居る。 商標公報といふ雜誌の[#「雜誌の」は底本では「離誌の」]綴を取り上げて見る。此《ここ》に予は一種の實用的な平民藝術を味ふ事が出來て大に面白かつた。殺鼠劑の商標に...

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